好きで強くなったわけじゃない

処女膜強靭症についての話

初診①

 

長い前置きから、しばらく間があいてしまいましたが

この間、診察に行ってきました。

 

クリニックは隣県の県庁所在地の駅前に広がる、賑やかな街中にある。

学生時代はこの街が遊びや買い物の場所だったので懐かしかった。

 

地理もだいたい覚えていて、ほとんど迷わずたどり着くことができた。

ビルのワンフロアを使っているクリニック。

診察室などは少し狭いけれど、綺麗で新しく清潔感があり

室内デザインもどことなく可愛らしく、

待合室にはフラワーアレンジメントなどが飾られている。

 

都市型婦人科クリニック、というあの感じです。

女性の方ならなんとなく想像できる方が多いのでは。

 

ただ受付に男性の方がいたので、少し驚く。

まず個人クリニックの受付(兼医療事務も多々)の方って

女性がほとんどなんですよね。

しかも婦人科なのに、と思ってしまいました。

 

でも自分が慣れていないだけだし、

職業に性別は関係ないよね……と思いつつ

「今日はどういったご相談で?」と訊かれた時は

えっ、診察室じゃなくてここで言うの?

しかも男性の人に?ってちょっと戸惑って間が空いてしまった。

 

それに予約の時も電話で言ったじゃないかー!

 

診察の予約電話をした時……(回想)

 

電話の相手は女性だったが、

「どういった内容のご相談でしょう?」と訊かれたので

「婦人科の手術のです」と答えたら

「何の手術でしょうかねぇ?」と。

 

えっ……言わないといけないのか……。

 

まず周囲を確認した。

そのとき大学院のお昼休みだったのだが(社会人向けの院に通っている)

敷地内にはもちろん大学もあり、そして大学というところでは

ちょうど今、海から網を揚げて甲板にばしゃーっと広げたばかりです

みたいな、ピッチピッチ跳ねまくっている大学生が大漁なのです。

 

周りがピッチピッチしているところで、

「処女膜切開手術」という単語を出すわけにはいきません。

そんな単語を聞かれたが最後、

大学生諸君はビチビチビタビタさらに跳ねまくって

私をガン見するかお互いでビタンビタン笑い合うか

その両方かに決まっているのです。

 

偏見ですね。

自分が大学生の時にあまりいい思い出がないのです。

 

でも私は周到に準備していた。

何か恥ずかしい単語を言わなければならないこともあるかもしれないと

想定して、図書館脇の、人気のいないところを選んで電話をかけていたのだ。

 

さすが私。

伊達に暗黒の大学生時代を送っていない。

 

「処女膜の切開の手術の相談です……」

となるべく小さな声で言った。

「えーと……形成ではないですね?」

「あ、はい、切開のほうです。切開というか、切り取るということですけど」

 

処女膜というのは、膜とはついているが正確には膜ではない。

粘膜の膜と同じような意味である。

女性の膣に一枚の膜みたいなのが張っていたら

完全に塞がってしまうやないか、月経の時にどないすんねん、

ということを考えればわかるかと思います。

 

まぁ何と言うか、ひだみたいなものです。

だから切開というとその字のごとく「切って開ける」というイメージで

一枚の膜が張っているという誤解をさらに広めるような気がするので

術名の記載の際には、処女膜切除手術のほうがいいと思うのですが

どうでしょうか全国の医師の皆さま。

 

 

蛇足はさておき。

回想も終わり。

 

予約の時にも言ったのにまた受付でも言うのかーと思いつつ

「えっと……手術についての相談で……」と濁すと

受付の男性の方は、あ、なるほど、という感じで

奥から出て来た女性の看護師さん(受付と医療事務も兼務?)と交代。

 

初診時の問診票を渡される。

待合室の椅子に座り、

「本日のご相談内容」のところには

「婦人科手術について」と書く。

受付で問診票を返すときにまた男性の方に交代している場合を想定して

詳しくは書かなかったのである。

私、とても慎重。トテモカシコイ。

 

問診票を受付に渡したあとは(受付はさきほどの女性看護師さんのままだった)

尿検査用の紙コップを渡されて、トイレへ。

 

トイレ、広い。綺麗。アメニティもいろいろ置いてある。

やっぱり婦人科はこういうところがいいな。

総合病院なんかの簡素な感じもそれはそれで「病院だなぁ」

という感じでいいんだけど。

でも壁に貼ってあるプラセンタエキスがどうのコラーゲンがどうのは

いらないんじゃないかな……女性向けのクリニックだと

そういう商売もやっぱしないといけないのかな……

医学的にはそんなに効能は証明されていないのではなかったか……

こういう街中のクリニックは賃料が高くて意外と大変なのかもしれない……。

 

とかなんとか考えているうちに尿を取り終わり、

トイレの壁にある小さなドアを開けて、向こう側に置く。

健康診断のときにやるあれですね。

あの小さなドアってなんか、医療業界的ロマンがありますよね。

 

医療業界的ロマン。わかりますでしょうか。

昔は自分で尿入り紙コップを持って外に出て行って渡してましたよね。

ちょっと嫌だった。

今はどこへ行ってもちゃんとあの小さなドアがあります。

患者さんの感情や、衛生面を考えればこのほうが当然いいもんね。

そういう、医療業界側の

「ちょっと私たちの感覚と一般の感覚との間には解離があるから、

一般の感覚を取り入れていこう」というゆっくりとした進化、

本当にとてもゆっくりとした進化。

それが見てとれる点が、ロマンなのです。

いや待て、ロマン……?(自分でもよくわかっていない)

 

 

蛇足を書きすぎである。

本題に戻る。

 

 

しばらくして名前を呼ばれ、診察室に入る。

医師の先生は女性である。

やはり婦人科の医師は女性のほうがなんとなく安心する。

職業に性別は関係ないよねと思いつつ、女性特有の悩みである場合は

仕事でやっていることであっても女性のほうがいいなと思ってしまう。

ここらへん、難しい問題ですがまた蛇足になるので置いといて。

 

この先生、なかなか面白い方だった。

途中、診察台で私が過呼吸気味になって気分が悪くなり吐く、

ということなどがあったが最後は笑って終わった。

 

長くなったので診察室以降は次の記事で。