好きで強くなったわけじゃない

処女膜強靭症についての話

手術①

 

またしばらく間があいてしまいましたが

約一か月前、手術を受けてきました。

 

術後すぐの、記憶が鮮明なときにブログを書こうかなー

とも思ったのですが

もし術後の経過がよくなかったら、ちゃんと切除できていなかったら、

などいろいろ考えてしまって

結局術後一か月の最終検査を終えてから書いています。

 

そして自分の書いた内容を読み返していて思ったのですが

私、ひどいな、と。

 

昔につきあった人の、

誰も心から気遣ってくれていなかったって書いてる。

 

でもよくよく考えたらそこまででもなかったと思います。

 

たぶんはっきり言葉にしなかっただけで、

それぞれ、気遣いはあったと思います。

 

それが「心から」かどうかなんて、

私には判断できない、神さまにしかわからないようなことで。

 

自己憐憫が過ぎました。

でも同時に、やっぱりちょっと、本音でもあります。

どないやねん。

 

本音と言うか、

「あぁこの人にとって私のこの問題はこの程度なんだ」

とがっかりしたときの心情と言うか。

 

もちろん私(他人)のことをそこまで思いやる絶対的義務なんて

恋人間や夫婦間でもないのですが。

 

うーん。

長い間悩みすぎて、感覚が偏ってしまったのかも。

「私はこんなに苦しんでいるのに」という思いが強くなると

相手の不作為にすぐにがっかりしてしまう。

 

「充分言葉にしなかった」

「充分態度や行動に表さなかった」

ということに対する断罪ラインが自分の中で低すぎかな。

 

まぁそれは置いといて。

過去に気遣ってくれた人たちに謝ります。

もしこの文章を見ていたら。

ごめんなさい。

 

特にあの人は気遣ってくれていたなぁ、という人もいます。

そういう人も全部含めて「みんな心から気遣ってくれなかった」と

嘆いてしまったのは、本当人間として私はどうかと思いました。

ごめんなさい。

 

でもおまえは違うからなー!

と言いたい人もいます。うん……。

 

 

 

手術について。

 

手術前日はあまり眠れなかった。

先生も私のような患者に慣れているのか、

事前に睡眠導入剤を一錠だけ処方されていた。

 

セルシン5mg錠。

正確には睡眠導入剤ではなく抗不安剤だったと思うけども

不安を和らげてぽわーっとさせて寝かせる、という処方はよくある。

 

5mgってやや多くないかと思ったけど

一錠だけの処方と考えると妥当かも。

 

で、それを飲んだけども眠れない。

落ち着くのは落ち着くんだけど眠るところまでいかない。

胸のどきどきがおさまったり無意識にこわばっているからだが柔らかくなる、

という感じはあった。

朝方になんとか少し眠った。

 

眠いほうが麻酔が効きやすいような気がするからいいかも!

というポジティブシンキングをしながら

シャワーを浴びたり化粧をしたりした。

 

服を着たあと、冷蔵庫を開けた。

庫内の隅っこに、紙袋に入れられたクリームが置いてある。

 

手術時間から逆算して、家を出るくらいに

事前麻酔として処方されている麻酔クリームを

手術予定箇所に塗るように言われているのだ。

 

手術予定箇所……つまり膣内。

説明を受けたとき、

「ちゃんと中にたっぷり塗ってね!容器全部ね!」

と言われたけどすでにそのとき「無理やろ」と思っていた。

 

病院で麻酔をする予定なのに、

なぜ自分で麻酔クリームまで塗らないといけないのか。

という疑問に対して先生はこちらが尋ねる前に説明してくれた。

「点滴の麻酔で眠っても、局所麻酔の注射をするときに

からだが動いちゃう患者さんがいるのよねー、そうなるとやりにくいから」

ということであった。

 

「え、点滴の麻酔で意識がなくなってても、

注射の痛みを感じてからだが動くということですか……?

それほどに局所麻酔の注射は痛いということですか……!?」

と私が焦ると

「あ、いや、そこまで痛くないと思うんだけど、なんか、無意識かな?」

と先生も少し焦っていらした。

詰め寄ってすみません。

 

初診にパニックを起こして血圧低下、意識低下、吐く、

ということをやらかした患者は正直先生は少々面倒くさいと思う。

でもやらかしたおかげで(?)

予防策を何重にも用意してくれてありがたいのであるが。

 

で、麻酔クリーム。

やっぱり全部を中に塗るというのは無理だった。

だって自分の指一本も痛いから手術を受けるんですよ。

そんな人間にそりゃー無理ですよ。

かなり量多いし。

結局ほとんどは外側に塗りたくった気がします。

なるようになーれ!という気持ちで車に乗りました。

 

運転は母です。

となりの県の実家から車で来てくれました。

帰りは麻酔から覚めてもしばらくはふらふらしてるから

車の運転はやめてね、と言われていたので。

術後に電車もちょっとつらいな、と思ったので。

お願いしました。

 

高速が渋滞していて十五分ほど遅れてしまって

受付の人に少し注意されました。

そりゃそうです。遅れるのに電話連絡していなかったのです。

なるようになーれ!精神がいきすぎました。

そして正直頭がいっぱいいっぱいでした。

もう本当に駄目だな大人なのに。

 

麻酔クリームを自分で拭うように言われ、

手のひらサイズの木のヘラとガーゼを渡された。

そういえば塗ったあと、病院で自分で拭ってもらいますって

言われていたなー、忘れてたなー、

でもクリームをちゃんと塗られなかった人間に

ヘラで膣内を拭ってって難易度高いなー、と思いつつトイレへ。

 

がんばってみましたが、

いやいやこういうのが無理な人間だから手術するのであって……

という開き直り精神がすでに醸成されているので

これもなんとなーくのてきとうな感じで終えてしまいました。

 

そのあとさらに、事前麻酔の事前麻酔。

肩に安定剤注射。これもたしかセルシンだった。

筋肉注射って痛い……。

なぜこういう注射って筋肉注射じゃないといけないのでしょうか?

皮下注射と何が違うのでしょうか?

即効性?それとも液量が多いと筋肉?

と脳内でぶつぶつ考えながら痛みに耐えた。

 

そして診察室へ。

(場所の都合なのか、待合室でささっと注射されていた。)

術中に何かあったときのために母も一緒に。

 

先生は、

「お母さまにこういう話しちゃってもいいのかしら……」

と妙に心配している。

どうしました先生、いつもの調子で

がばがばゆるゆるにしますとか言っていいんですよ。

 

でも母に手術内容を説明するときに取り出した症例写真集が、

前半部分は男性器の症例ばかりのようで

ぱらぱらめくっているときにさまざまな男性器が丸見え。

「あ~これちょっと男性のも載ってるんですけど~」

と一応は言うけれどもさほど気にしていないふうの先生。

さすが先生。

 

でも母も特に動じない。

個人的経験により見慣れているのか、

息子を育てた母だからなのか、

母も天然度合では負けていないからなのか……

まぁここはどうでもよかった。

 

この先生、初診から感じていたんですけど

だいぶ天然……というか適当……というか大雑把……

というかというか。

対して個人クリニックの割には数が多いと感じる看護師さんたちは

配慮が細やかで優しい。

うまく先生をフォローしている感じです。

これぞチームワーク、というクリニックです。

 

外科手術の場合、普段の言動はあまり手術の腕には関係ありません。

本当です。患者への対応が大雑把でも手術は上手い医師もいますし、

対応は細やかなのに手術となるとどうも下手、という医師もいます。

外科手術って手先の器用さがだいぶ影響するんです。

だから言動が天然で大味だなと感じる先生でも大丈夫。きっと大丈夫。

(自分に言い聞かせている。)

 

 

母への説明を終え、手術室へ。

手術室と言ってもいつもの診察台でそのままやるのですが。

 

台に乗り、例の足ぱっかん状態で血圧測定。

なぜか高血圧でした。たしか上が140代。

先生も「なんでかな~?」と言いつつとりあえず準備。

 

腕に麻酔用の針が固定され、事前麻酔その3の点滴が始まります。

こういうのってけっこう早く意識が落ちるはずなのですが

なかなか意識が落ちない。

あ、効いてきた、と感じて

かなりぼーっとはするんですが意識はある。

 

でも目を閉じていたら先生が「じゃあ始めましょう」と言って

カーテンの向こうでかちゃかちゃやり出したので

やばい、あのすごく痛そうな局所麻酔が始まるのに意識ある!

と焦り、まぶたを開けました。

 

声を出そうとするほどには意識レベルがない。

気づいて!という気持ちでまぶたを開けたのです。

なんかこういう怖い映画あったー!

痛覚は残ってるのに手術中動けないっていう映画ー!と思い出しつつ。

 

そうしたらそばにいた看護師さんがすぐに気づいてくれ、

「先生、でもまだまぶた開いてます」

と伝えてくれました。

本当、ここの看護師さん、以心伝心してくれる。すごい。感謝。

 

「え、そうなの。じゃあセルシン2ミリ追加」

という声が聞こえました。

ぼーっとしている状態なので薬の名前や量が正確かはわからない。

ただ「またセルシンか……純粋な麻酔ではないのか……」

と思った記憶が残っている。

 

「先生、まだまぶた開いています」

「じゃああとセルシン1ミリ追加」

 

けれども純粋な麻酔とは何だろう……

抗不安剤も量や使い方によっては

手術用の麻酔にもできるのだろうか……

というか事前麻酔だからだろうか……

先生の好みだろうか……よくわからないな……。

 

…………。

 

 

 

つづく。